変形性膝関節症の治療法
中高年のひざの痛み、あきらめずに上手に付き合う方法を身につけましょう。
加齢とともに増えてくる、やっかいな悩みのひとつが、ひざの痛み。
ひざが痛み始めると、歩くことがおっくうになり、結果、運動不足を招いてほかの病気の原因になることもあります。
ひざの痛みは、単なる老化現象ではありません。太ももの筋力強化で痛みが軽減できるケースもあります。
ひざの痛みには日本人の500万人から1000万人が悩んでいると言われ、最も多くの方がかかっているのが、変形性膝関節症です。50歳代で発症し、65歳以上で急増します。また、男性に比べ2~4倍、女性に多いのも特徴です。
変形性膝関節症とはずばり、関節軟骨が傷む病気です。
”変形”というと、やや誤解されるかもしれません。この変形性膝関節症というのは、関節の軟骨が傷んですり減ってくる病気のことで、必ずしも外見上変形してくるわけではありません。
「老化現象だから治らない」とか、「年をとったから仕方がない」とあきらめるのではなく、上手に付き合う方法を身に付け、必要に応じた治療を選んで、ご自身で治そうという姿勢が大切です。
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関節軟骨とその働き
関節軟骨は、関節の骨の表面をおおっている厚さ2~7mm程度の層で、正常では透明感のある白色に輝いていて、表面は非常に滑らかですべすべしています。
関節軟骨は、体重が加わるなどの圧迫に対して、クッションとなっています。水を含んだスポンジのように、関節の水分を吸ったり出したりすることで、体重の負担を分散してその衝撃を軽くしています。
また、関節軟骨同士の接触麺は、摩擦による抵抗が非常に少なく、そのすべりやすさはスキー、スケートの約10分の1と非常に小さく、抵抗なく動かすことができて、すり減ることも防止しています。
変形性膝関節症になりやすい方は
肥満のある方、高齢、膝の大ケガをしたことがある方、O脚変形のある方、男性よりも女性などが変形性膝関節症になりやすいといわれています。
ただし、これはあくまでもなりやすさの傾向であり、そうであっても必ず変形性膝関節症になる訳ではありません。
変形性膝関節症は軟骨の磨耗
変形性膝関節症は膝の軟骨が磨耗する病気です。
軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだんすり減って悪くなる傾向があります。O脚では、内側に過度な体重、圧迫が加わることになり、内側の軟骨の磨耗が進んでいきます。
また、年齢とともに筋力は低下してきますが、その筋力に見合わない負担が掛かるお仕事やスポーツなどでも、関節軟骨が傷んでしまいます。瞬間的に掛かる力を、筋力でカバーできずに、衝撃を吸収しきれなくなってしまうわけです。
関節軟骨が、すり減ってくると、衝撃をうまく吸収できなくなり、痛みが強くなってきます。
基礎療法はとても重要です
基礎療法はとても重要です。 体重を減らすこと、筋力をつけることは、ご自身で取組むことができ、膝関節への体重負担を和らげる効果があります。
体重コントロール
歩いたり、走ったりするときには、膝には体重の3倍から10倍の力が掛かるといわれています。 ですから、1Kgでも減量できれば、膝への負担は3~10Kg減らすことができることになります。
筋力増強訓練
筋力増強訓練は、減量と並んで、変形性関節症の基礎療法の大きな柱のひとつで、非常に重要です。特に太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えましょう。理学療法士(リハビリの先生)にきちんと教わって、ご自宅で毎日、根気強く続けることが大切です。
椅子に腰掛けて、片方の足を上げて、膝をピンと伸ばします。太ももの前面の特に膝の内側に力こぶができるようにしっかり力を入れてください。そのまま、数秒間足を上げたまま止めましょう。 これを左右交互に行なって一度に10回から20回、これを一日に2~3回を目安に行なうと効果的です。 筋力がかなり落ちている方や、膝関節痛が強い方は、初めから重りなどの抵抗を加えないで下さい。上げることも痛い場合は、かかとを床に着けたままで、太ももの前面に力こぶを作る訓練をして下さい。 このような訓練は頑張れば必ず効果が出てきますので、少なくとも2~3ヶ月くらいは続けてみましょう。
そのほかの運動としては、膝になるべく負担の掛からない、水泳や自転車などの運動がよいでしょう。水泳は膝に体重負担が掛かりませんので、理想的な運動です。水の中を歩くだけでもよく、減量にもつながります。
薬による治療
薬による治療は、いわゆる痛み止め(消炎鎮痛剤)、漢方薬、湿布など貼ったり、塗ったりする外用薬、関節の中に直接投与する注射剤などがあります。
消炎鎮痛剤
一般的にいう、いわゆる痛み止めです。これらの痛みに対する有効性は約6~8割で、副作用は1割前後と言われています。
激痛があるときには、消炎鎮痛剤の座薬を使用する場合もあります。長期間続けますと、副作用が出ることもあり、注意が必要です。
塗り薬、湿布もよく使用され、飲み薬、座薬に比べると副作用が少ないのが特徴です。
これらの薬を、痛みが強いときを中心に上手に使用すれば、より快適な生活を送ることができます。ただし、いずれも、その効果は一時的であるという限界を抱えています。
漢方薬
変形性膝関節症には漢方薬も有効です。漢方薬は、本来はそれぞれの患者さんの体力、体質、状態などに合わせて処方するもので、そのことによって最大の効果を得ることができます。
変形性膝関節症治療の中心となるのは防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)(20番)という処方です。皮膚や筋肉が柔らかく、やや肥満傾向(水ぶとり)の方に処方します。いわゆる水がたまりやすい(関節水腫)、汗かきで、むくみやすい、疲れやすいというのも目安となります。鎮痛効果はあまり強くなく、効果が出るまでに、やや時間が掛かることが多いようです。
関節に水がたまり、痛みがひどいときには、これに五苓散(17番)を併せて服用すると、より効果が高くなります。 防己黄耆湯で効果がない方には、越卑加朮湯(えつびかじゅつとう)(28番)を合わせると良いことがあります。 胃腸が弱く、冷えると一層痛みが強くなるタイプでは、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)(18番)など体を温める処方が有効です。
それぞれの患者さんで効果は違うため、実際に使用してみて処方を決めていきます。
注射剤
変形性膝関節症に使用する注射剤としては、ヒアルロン酸または消炎鎮痛剤であるステロイドホルモンがあります。
ヒアルロン酸は、軟骨の一成分で、関節液中にも存在する関節の潤滑油でもあります。変形性膝関節症では、このヒアルロン酸の量が減るため、注射で補うことで、痛みを和らげる効果、炎症をおさえる、関節の動きを良くするなどの効果があるといわれています。
ステロイドホルモンは、強い炎症止めの効果と鎮痛効果がありますが、あまり頻繁に使用すると、副作用が多くなるといわれています。
